【第3回】お墓を動かすための第一歩。知られざる「役所の手続き」編
みなさん、こんにちは。 自分自身のリアルな体験を綴る【私の墓じまい日記】、第3回をお届けします。
前回、お寺様や親族から温かい同意をいただき、いよいよ具体的な実務へと動き出しました。 今回は、墓じまいをするときに避けては通れない「役所での手続き」についてのお話です。
「役所の手続き」と聞くと、なんだか難しそうで腰が重くなりますよね。私も最初は「書類がたくさんあって大変そうだな…」と身構えていました。でも、実際にやってみると、事務的な作業以上の「大切な気づき」があったのです。
1. お寺様からのアドバイスと、市役所への第一歩
まず、お墓を管理してくださっているお寺の住職様に、何か必要な書類があるかを尋ねてみました。すると、
「役所から**『改葬許可証(かいそうきょかしょう)』**という書類を貰ってきてください。そこに(お寺の証明を)記載します。 うちの場合は、移動前も移動後も同じ私が管理者だから、極端にいえば書類がなくても進められるけれど、大切な記録としてちゃんと残しておくためにも、しっかり手続きをしておこうね」
とアドバイスをいただきました。なるほど、お骨を動かすには公式な書類が必要なんだと納得し、さっそく市役所の市民課へ向かいました。
(※お骨を動かすための「改葬手続き」の流れや必要書類、申請書の様式などは、各市町村(自治体)によって細かくルールが異なります。 実際に手続きを進める際は、事前にお墓がある地域の役所ホームページを確認するか、窓口へ問い合わせてみるのが確実です!)
窓口で尋ねると、書類は無料でいただくことができました。 「もし書き間違えたらどうしよう…」と心配性の私は、予備も含めて2枚もらってきたのですが、窓口の方に聞くと「間違えても二重線を引いて訂正すれば大丈夫ですよ」とのこと。少しホッとしながら、書類を持ち帰りました。
2. 「こんなに書くの!?」驚きの記入欄と、救われた言葉
自宅で書類を開いてみると、そこには驚くほどたくさんの記入欄が並んでいました。
【改葬許可の申請書に記入する主な内容】
- 亡くなった方の「本籍」「当時の住所」「氏名」「性別」
- 亡くなった年月日
- 埋葬(土葬)または火葬された場所と、その年月日
- 改葬(お骨を動かす)の理由
- 新しい改葬先の場所(引っ越し先のお墓の情報)
- 申請する人の住所・氏名・亡くなった方との続柄
「これは、ちゃんと調べないと全然書けないぞ…」と、目の前がクラクラしそうになりました。 しかし、不安になる私に、市民課の担当者の方がかけてくれた優しい言葉が救いになりました。
「調べられる範囲、書ける範囲で埋めてくだされば大丈夫ですからね」
この一言で、肩の力がフッと抜けました。
3. 家の歴史をたどる、愛おしい時間
実際に私が自力で書けたのは、かろうじて面識のあった伯父や叔母の名前と、亡くなった日取りくらいでした。
そこからは、宝探しのような時間が始まります。 まずは、亡くなった父が残してくれていた古いメモ。それを1行ずつ慎重にたどりながら、お会いしたことのない曾祖父や曾祖母の名前を書き写していきました。 それでも分からない部分は、お寺様を再度訪ね、過去の古い記録を一緒に見てもらいながら、一つひとつ丁寧に教えていただいて記入を埋めていきました。
全ての欄が埋まり、無事に市役所へ提出して手続きが完了したとき、私の心には「めんどくさい」という気持ちは一切消えていました。
書類をとおして、我が家の歴史を順番にたどっていくと、 「あぁ、親父が何歳のときに、曾じいちゃんや曾ばあちゃんが亡くなったんだな」 という、当時の家族の情景が浮かんできたのです。
実は、私が生まれたときには、すでに祖父はこの世を去っていました。でも、父の残したメモや、曾祖父との思い出話が、この書類の中で今も生きていることを実感できました。
最初はただの「事務手続き」だと思っていました。 でも、お墓をなくす(しまう)という大きな責任を背負ったからこそ、「自分のルーツを知ることができて、本当によかった。今後、子供たちに聞かれたときにも自信を持って話してあげられる」と、心から思える特別な時間になりました。
書類の壁を乗り越え、次はいよいよお墓の解体・工事のステップへ移ります。
業者の職人さんにお願いすることになるのですが、私の心にはまた新たな変化が生まれました。
(次回へ続く)
次回は、「第4回:いよいよお墓の解体へ。職人さんの技と、心模様」をお届けします。 形あるお墓がなくなるとき、人はどんな気持ちになるのか。リアルな心の動きをお伝えします。お楽しみに!

